TMS(経頭蓋磁気刺激)について
当院ではTMSによる臨床研究 を行っています。
TMSとは?
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation:経頭蓋磁気刺激)とは、磁気エネルギーを利用して、身体を傷つけることなく大脳皮質を刺激し、皮質や皮質下の性質や活動性を変化させる方法で、うつ病など、様々な神経疾患に対処する、「ニューロモデュレーション(神経調節法)」という新たな治療法として注目されています。
2008年にアメリカで「薬物治療抵抗性うつ病」に対するTMS治療が認可されました。現在では、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパの国々で、うつ病に対する治療法として実践されています。一方、日本では、2019年に保険適応治療として許認可されましたが、その治療機器は限定的(機器名:Neurostar,米国Neuronetics社製)であり、大きな病院などの限られた医療施設でしか実施されていません。そのため、国内では他社の機器を用いて「自由治療」や「臨床研究」形式で実施されていることが多いようです。
当院では、2012年より米国ではすでに許認可され治療実績もある信頼性の高いTMS装置(機器名:マグプロシステム,デンマークMagVenture社製)を導入し、難治性のうつ病※1などの精神神経疾患に対して臨床研究を行っています。
当院でTMS治療を受けるには、臨床研究に参加して頂く必要があります。
※1:薬物療法において十分な量かつ長期に投与しても症状が改善しない状態
うつ病に対するTMS
うつ病に対するTMSは、これまで諸外国での研究においてその効果が数多く実証されています。当院では、難治性のうつ病に対して『rTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)法』によるアプローチを行っています。うつ病では、左背外側前頭前野の機能が低下していると考えられており、同部位へのTMSによる抗うつ効果が期待されています。
rTMS法とは、大脳皮質の左-背外側前頭前野(DLPFC)と言われる場所(図1)に、1秒間に5~10回以上の高頻度で刺激する方法です。rTMS施行に要する時間は、1回あたり20分間程度で、それを合計20回行います(およそ4週間の期間)。
TMSを受けるためには以下の条件が必要です
【うつ病の場合】
- 主治医の許可があり、自らの意志でTMSアプローチを希望される方
- 20歳以上の方
- 主診断が「大うつ病性障がい」(DSM-Ⅳ-TR)の方
- 薬剤を同時、もしくは継時的に投与されながらも、1年以上、抑うつ状態が長期にわたっている、もしくは再発を繰り返している方
- 15分以上の安静が保てる方
など
以下の方はTMSを受けられません
ペースメーカーや人工内耳(補聴器)、頭蓋内クリップ、インプラント等の金属製医療機器が体内に埋め込まれている方
てんかん、またはてんかん性発作の既往がある方
重篤な身体疾患に罹患している方
妊娠中またはその可能性がある方
希死念慮がある方
などお問合せ
TMS臨床研究に興味をお持ちの方は主治医にご相談いただくか、下記の当院TMS窓口までお問合わせください。
なお、TMSアプローチを受けるには医師の診察と許可が必要です。お受けいただけない場合もありますのでご了承下さい。
松原病院 総合窓口
9:00~17:30[土日祝 休]
- TMS窓口担当
- 看護師 荒川(あらかわ)
理学療法士 宮地(みやじ)